Wind of Myanmar

このアジアの片隅で…「16」

家庭菜園

 話は遡るが、昨年秋に住居(二階)と仕事場(一階)を兼ねたバンガロー(一軒家)をヤンゴン郊外に借りて、ミャンマーでの仕事、生活が始まった。
 建屋の前には結構広い庭があり、借りた当時は雑草だらけだったので、そのうちゴルフのグリーン風に、芝でも植えるかと思って、1ヶ月後に訪ねてきたら、そこはなんと畑になっていた。ドライバー兼、家の管理人でもあるミャンマー人の若者が地方出身で、農業はお手のものらしく、昨年11月、乾期になるのを待って、庭にトマト、キュウリ、オクラや大根の野菜の種を蒔いて育てていたようだ。今まで農業はもちろん、家庭菜園すら全くといって縁がなかった私は、たまに水をやるぐらいで、特に何をしたわけではないのだが、日々野菜が育っていく姿のを眺めるのは結構珍しく、新鮮でもあった。
 朝市へ行くのも楽しいが、不揃いながら自分の庭で育った野菜を食べるというのも、なかなかいいものだと思う。

このアジアの片隅で…「17」

大好物 発見!

 「ミャンマーでは何がおいしいですか?」とよく聞かれるが、「これがミャンマー料理だ」という ような代表料理はまだ食していない。ガイドブック等で見る限りは中華料理やタイ料理に近い感じで、フライものが多く、総じて油っぽいようなので、敢えてトライしていないことも理由のひとつ。
 一方ミャンマー料理といえるかどうか分からないが、ミャンマー人が利用する近くの食堂では焼飯や野菜炒めをよく食べるが、いつも「 辛くしないで」「油は少なめに」とお願いするが、それでもお皿の下に一杯油が溜まった焼飯が来ると、お皿の片方の下に小皿を挟んで、油を片方に寄せながら、その反対側から食べる習慣が身についた。
 そんなわけで、ここでの料理や食事には、ほとんど期待しなくなったある日の夜、チャイナタウンの屋台に、私の大好物がたくさん並んでいるを見て驚いた。何かというと、それは「大蝦蛄」(大シャコ)。日本でシャコというと、まず寿司ネタが頭に浮かぶが、アセアン地域のシャコはとても大きく、小さくても20cmぐらいはあり、大きいのは40cmぐらいはある。値段は屋台で一匹2.5〜4ドルだったから、ミャンマーの物価からすればかなりの高額だ。
以前、マレーシアやタイの中華料理店でも食したことがあり、詳しいレシピは分からないが、素材自体が結構濃厚な味なので、基本的にはシンプルにガーリックと一緒に炒めたり、揚げたりするようだ。なぜがミャンマーの屋台に並んでいるシャコは鮮やかな赤色だった。私は30cmぐらいのを一匹選んで、その場で食べてみたが、期待通りの味で絶品、大満足。甲殻類は好物でロブスターや伊勢エビ、いろんな種類の蟹やエビがあるが、私はアジアで食べるこの大シャコが一番好きだし、酒のツマミとしても最高だ。

このアジアの片隅で…「18」

乗り合いトラック

 ミャンマーでの庶民の足、主な交通手段は何と言ってもバスだろう。もちろん普通の乗り合いバスもあるが、そのほとんどは日本や韓国から輸入された中古車で、車体には日本語や韓国語の表記がそのまま残っているからすぐに分かる。特長ある京都の古い市バスも走っていて、懐かしい。
 一方で、乗り合いバスと呼べるかどうか分からない、トラックの荷台を改造し、幌をつけただけの公共輸送手段もあり、近距離はこれが多い。まあ、考え方はフィリピンのジプニーのようなものと言えるが、もっとプリミティブだ。朝夕の通勤ラッシュ時は写真のような凄い混雑で、ホントに落ちないか見ている方がヒヤヒヤさせられる。その一番後ろで軽業師のような軽快な動きで、ドンドン客を詰め込んでいるのが車掌だ。もちろん落ちたり、けがをしても客の自己責任ということだろうし、こんな状況を決していいとは思わないが、少し過保護とも感じられる現在の日本社会と比べると、たくましさや勢いを感じてしまうのは、多分私だけではないだろう。

このアジアの片隅で…「19」

雨が恋しい?

 最後に雨の降った日は憶えていないが、ヤンゴンでは11月の初めから約6ヶ月、一滴の雨も降っていない。子供たちがよく水遊びをしていた近くの池は、完全に干上がっているし、川の水位も3分の1程度まで下がっていて、船が行き来出来るのか心配になるぐらいだ。幸い生活用水は井戸水(地下水)に頼っているので、困ることはないが、街全体が埃っぽく、今はホントに雨が恋しい気分だ。
 ヤンゴンに来るまで、ヤンゴンの気候は雨期と乾期に分かれてはいるものの、マレーシア、タイやインドネシア同様、乾期にも雨は降る熱帯雨林型と思っていたが、熱帯は熱帯でも、どちらかと言えば内陸型気候で、今はほとんど砂漠に近い状態。夜は25、26度まで下がるが、日中の温度は摂氏40度を超える日も多く、一旦過酷な環境に身を置くと、冬は嫌いと言いながら、改めて四季の変化が味わえる日本の良さを思い知らされる。
 ただ幸いなことに、この気候も今月中、いや今週末にも乾期から雨期に変わるらしく、このブログをアップする11日には、もしかしたら雨が降っているかも・・・。雨期は雨期で結構大変なんだけれど、今はみんな雨を待っているし、半年振りのヤンゴンの雨を、私もじっくり味わってみたい。

このアジアの片隅で…「20」

停 電

 最近よく停電する。聞くところによると、ミャンマーの電力源は水力発電中心のようで、そのせいか乾期中に停電が多い。
 その乾期も終わりに近づいた今月に入ってからも、毎日必ずと言っていいほど、長時間停電がある。時間帯は午後から夕方にかけてが多く、5分で復帰することもあれば、長い時は4、5時間以上続くことも・・・。バックアップはジェネレーターで停電になると自動もしくは手動で切り替える。一般に家庭用ジェネレーターは蛍光灯や扇風機やコンピューター等の低消費の電源はカバーするが、エアコンや冷蔵庫、洗濯機等を駆動させるまでの電力は無く、中でもこの時期一番困るのはエアコン。屋外の温度が摂氏40度もある日中に停電すると、30分も経たないうちに部屋の中は蒸し風呂のようになる。何もしなくても、体全体から汗が吹き出し、慣れていないと呼吸困難のような感覚に陥るが、困るのは逃げ場のないことだ。長い海外生活でもこれは初めての経験だが、凄いのはやはり慣れなのか体質なのか、一緒に働くミャンマー人は、この程度のことではほとんど汗をかかない。
 今日本では、原子力発電の是非に絡み、電力供給源についての議論が活発だが、議論している人は一度真夏に2−3時間、エアコンのない部屋で話し合えばいいと思う。電気のない生活の大変さや電気のありがたさを再認識、自覚するには体感するのが一番だ。あとは木陰で写真のように、暑さが収まるのを、寝ながら待つという選択肢もあるが・・・。

<< TOP >>