Wind of Myanmar

このアジアの片隅で…「21」

蚊についての考察

 乾期の猛暑で唯一いいことと言えば、蚊がほとんどいないくなることだ。当初は40度を超える猛暑に、意外と弱いのかなと思ったりもしたが、よくよく考えると近くの池は完全に干上がってるし、少ないのはボウフラの育つ環境悪化が原因だと気がついた。
 一方、ヤンゴンの12月、1月は朝晩、摂氏15度ぐらいまで下がって、結構寒いから蚊もいなくなるだろうと心待ちにいたが、残念ながら期待外れ。でもその時、面白いことに気がついた。確かに絶対数は減ったが、寒さに耐える能力を持つ蚊は、やはり強い遺伝子、DNAを持っているのか、すばしっこいし、Tシャツ等の上からでも刺すから防ぎようがない。また、普段は刺されても痒さは持続しないのに、この時期刺されるといつまでも痒い。やはり厳しい環境を少数で生き伸びているには、それなりの理由があると納得。
 昼間、オフィスでの蚊対策はもっぱら充電式の電子ラケット。これを振り回して、バチバチと蚊を退治する。うまくやっつけると結構ストレス発散にもなる。殺虫スプレーは、安全かどうか分からないガスを自分も吸い込むことになるので、ほとんど使わない。また、地元のスーパーで売っている蚊取り線香は、名前も凄いが強烈な匂いがして、これも蚊がやられる前にこっちがやられそうになったので、一回使ったきり。夜は簡易型の蚊屋のおかげで蚊の攻撃を受けずに安眠出来る。ただ出入りが結構不便で、メッシュとはいえ結構圧迫感もあるが、刺されることを思えばこれも仕方があるまい。

このアジアの片隅で…「22」

ミャンマー語

 その国に行けば、やはりその国の言葉でコミニュケーションするのが基本だと思う。もちろんそれが短期の旅行であっても、片言ぐらいは話せた方が断然楽しいし、いままで出来る限り、そう心掛けてきた。
 しかし、ミャンマーに来て、初めてミャンマー語を目にした時は思わず目が点になった。いろんな形の丸の大行進というか、あまりにシンプル。ホントにこれで読めるのか・・・。一方、私の日常会話の虎の巻は「旅の指さし会話帳」これがなかなかの優れもので、既に6冊もあるということは、過去6カ国語にトライしたことになる。以前インドネシアに赴任した時は、この「旅の指さし会話帳」にはかなりお世話になった。さてミャンマー語だが、読み書きは早々にギブアップ。せめて簡単な日常会話と数字ぐらいはと勉強を始めたが、これまた発音の難しい単語がたくさんあり、何度聞いてもちゃんと発音出来ない。最後はいつもの手段で、単語ではなく文脈から相手に何を話しているか想像してもらう方法で話すことにする。要するにその単語の入った例文をあげて説明する。この方法は英語でもうまく発音出来ない単語の場合に役立っており、海外生活の知恵と言っては大げさかもしれないが、結構いろんな場面で使えます。

このアジアの片隅で…「23」

語学とワークアウトの共通点

 ミャンマー語が厄介な語学なのは先週記したが、語学を学ぶには、二通りの方法があると思う。一つ目は、時間があれば1日中、語学漬けになるぐらい寝るのと食事を取る時以外は語学しかやらないという方法。二つ目は、毎日短時間でもいいから目標を決めて長期間続ける。
 一つ目の方法がベストなのは間違いないが、普段働いている人は物理的に無理だし、歳を取ると今度は時間があっても集中力が持続しないので、必然的に二つ目の方法を取ることになる。ミャンマー語の単語や簡単な構文を暗記する時、改めて思ったのが、これってワークアウトに似ているなあと。即ち、ある程度のレベルに達するまで、その過程においては語学の暗記も腹筋、腕足せ伏せや柔軟体操も、毎日やらないとダメだということ。特にミャンマー語のように全く新しい言語の場合、ある程度憶えて日々使えるようになるまでは、1日でも休むと憶えるより忘れる速度の方が断然早い。
 多分これは年齢と共に加速しているようにも感じるが、最近心がけているのは、忘れることや忘れたことにがっかりしないこと。要はそれ以上インプット、憶えれば記憶が溜まると思うのだが、やはり理屈通りにはいかないのが世の常で、正直ミャンマー語には挫折しそうになっている今日この頃です。

写真はヤンゴンの下町風景で、今回は本文と関係ありません。

このアジアの片隅で…「24」

手作り道路

 現在ヤンゴン市内は建設ラッシュ。同時に道路の整備や拡張工事も進んでいて、毎日街のどこかで工事があり、日増しに渋滞もひどくなっている気がする が、これも国が発展の途上で起こる痛みの部分と言えなくはない。
 ただ不思議なことに道路工事で、ミキサーやローラー等の大型重機を見かけたことがなく、結構広い道路であっても殆どの場合、コンクリートを流し込む作業から、最後に地面をフラットにする工程まで、全て人海戦術というか手作業だから凄い。また、もう一つ気付いたのは、道路工事や建設現場といった結構キツい職場に意外と女性が多いこと。 ミャンマーにはタイとほぼ同様の6000万人以上の人がいるので 、男性の労働力が不足しているとは思えないし、こういう仕事はやはり体力勝負なので、間違いなく男性のほうが有利だと思ったが・・・。他のアセアン諸国でもあまり見かけない光景だ。
 働きたくとも体力のない女性は採用されないと思うのだが、そういう意味ではミャンマーは、男女平等のフェアーな社会なのか、それとも単に女性が働き者ということなのか・・・。

このアジアの片隅で…「25」

外旅行

 毎月のようにミャンマー、マレーシアと日本を往復している私にとっての海外旅行はイコール、それ以外の国へ行くことだ。今週はブログのタイトルとは違うけれど、先週久しぶりの休暇で初めて訪れたハワイの印象を少し。
 海外生活は結構長いので、ハワイは初めてと言うとみんなに驚かれるけど、正直今までは「世界のリゾートの王様」みたいに言われるハワイの魅力がイマイチよく分からなかったし、それほど行きたいとは思わなかった。今回は他にきっかけもあって初めてオアフ島とマウイ島を訪れた。
 そこで私が一番感動したのはきれいな海ではなく、同じ南国でも気候や空気感がミャンマーやマレーシアとは全く違ったということだ。写真でも分かるように、カラっとした、あの澄み切った空気感はアセアンのリゾートでもなかなか味わえない。空気の透明度が違う気がした。また日差しが強く、暑そうなんだけれど、蒸し暑くないからさほど暑さを感じない。だからほとんど汗もかかない。この蒸し暑くないというのは、長らくアセアンに暮らす者にとって、いやずっと日本に暮らしている人にとっても新鮮な感覚だと思う。そこがバリやプーケットのようなアセアンのリゾートとの決定的な違いで、これがハワイの最大の魅力だと思った。
 今回はゴルフもダイビングもしない、のんびりした静かな旅だったが、誰かが言ってた「ハワイは何もしなくても、ただそこに佇むんでいるだけで気持ちのいいところ」だと。まさにその通りだし、また行きたくなるかもしれない。と感じた8日間の旅でした。

このアジアの片隅で…「26」

高野秀行は凄い!

 今週も少し話が逸れるが、昨年「謎の独立国家・ソマリランド」という本がとても面白いという情報を得て、日本帰国時に購入しようと、本屋で高野秀行を検索したら在庫が無く、結局アマゾンに注文することになった。検索時に彼の著作一覧を見たら、その中には私の興味を引くタイトルの本がたくさん。
 中でも特に目を引いたのは「アヘン王国潜入記」という文庫本で、パラパラ中身を確認すると予想通り、ミャンマー奥地が舞台のルポルタージュだったので、親近感も湧いてその場で購入した。1995年にミャンマーの北部シャン州の東に位置するワ州、いわゆるゴールデントライアングル地区のある村に単身で入り込み、徐々に村人たちの信頼を得ながら約7ヶ月もの間、彼らと一緒にケシの畑を耕すところから収穫までを経験し、最後は本人も半分麻薬中毒になりながらの体験談なのだが、常人には絶対に真似の出来ない体験を全く気負わず淡々と書き綴っているので、逆にすごくリアリティがあった。後から知ったのだが、彼は大学時代、探検部に所属し、当時アフリカ、コンゴに怪獣がいるという噂を聞いただけで友人を集め探検隊を組織し、探しに行くほど根っからの探検好きだと知って納得がいった。
 そして彼の最新作が昨年発刊され、ノンフィクション部門の本屋さん大賞も受賞している冒頭のソマリランドの話で、分厚いこの本は今までの彼の集大成ともいえる力作だ。学生の怪獣探しの頃と比べると、文章も格段にうまくなっているし、何より凄いのは彼の行動力と取材力。これらは誰にも真似の出来ない嗅覚に近い特別な才能と言えるだろう。開発途上国、特に未開の地に興味のある人にはどれもバイブルというか、必読書です。

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