Wind of Myanmar

このアジアの片隅で…


プロローグ (2014年〜)

 このブログのタイトルはその昔、フアンだった加藤和彦の「シンガプーラ」という曲の歌詞の一節です。あまりヒットはしなかったと思いますが、なぜか強く惹かれ、今も時折思い出して口ずさむほど思い出深い曲でしたので、今回始めたブログのタイトルに選びました。当時はまだ想像すら出来なかったアジアの国々に、ただわけもなく憧れたものですが、そんな自分が、その後アジア(ASEAN)に15年以上も住むことになるとは夢にも思っていませんでした。そしてその間、いろんな出会いや多くの感動がありましたが、今では良くも悪くも、大概のことには驚かなくなってしまいました。もちろん全てが懐かしい思い出です。

 そんな私が昨年ミャンマーに足を踏み入れた途端、何と新鮮なこと・・・。その昔、初めてアセアンの地に足を踏み入れた時のような、緊張感やドキドキ感がありました。この歳になって再びこんな気持ちになれた喜びを、折角なので、何かの形で残してみようと、Flexartサイト開設にあわせ、ブログのページを加え、まさに今“このアジアの片隅で”繰り広げられる出来事を中心に、週一回ぐらいのペースで綴ってみようと思っています。

このアジアの片隅で…「1」

共同水飲み場

ミャンマーに来て、まず最初に驚いたことの一つに、街の至る所に写真のような水飲み場がある。一体誰のために?聞いてみると、対象者はそこを通る喉が渇いた人ということだが、ミャンマーは仏教国、お坊さんの姿がやたら目に付く。彼らは托鉢にしょっちゅう町中を回っているので、多分その人たちが主な対象者と思える。もちろん敬虔な信者も多く、助け合いの精神に基づいたこういう文化は好感が持てる。お坊さんが多い理由は徳を積む為、多くの一般人がある一定期間、お坊さんになるようだ。
 さて少し気になるのは誰がその水をいつ交換するのかということ。水を交換するのは、その施設の近くの住人のようだが、いつ水が交換されたのか、誰もわからないし、我々が飲むにはかなり勇気が要りそうだ。

このアジアの片隅で…「2」

田中さんではなく「タナカ」

 ミャンマー語は短い単語で微妙に違う発音が多く、なかなか憶えられないが、一回聞いただけで忘れないのが、この言葉「タナカ」。
 タナカは田中さんではなく、ミャンマー独自の化粧品を兼ねた日焼け止めで、タナカという木をすり潰して粉にしたものを顔に塗る。ほっぺたを中心につけるのが一般的だが、中には顔中に塗りたくっているおばさんもいる。子供や女性がつけるのが一般的だが、成人男性のタナカもチラホラ見かける。街中を歩くとほとんどの女性はタナカを愛用しており、ミャンマーを象徴する伝統文化といえるし、風景の中に自然ととけ込んでいる。初めて見た時にはかなり違和感があったが、今ではなかなかキュートに見えるから不思議だ。
 これだけネットやテレビが普及し、みんながインターナショナルな美的価値観に惑わされる中、伝統的な文化を守り続けるミャンマー人の心意気、国民性を感じたが、多分効果もあるんだろう。

このアジアの片隅で…「3」

街角ビジネス その1

 ミャンマー、ヤンゴンのネット事情は多分20年ぐらい前の日本のようだ。もちろん日時によって異なるが、動画はほとんど無理と思ったほうがいい。最近聞いた話だと、ネットが遅いのは政府が一々検閲しているためだとか・・・。真偽は定かではないが、未だ軍事政権なので分からなくもない。でもホントはインフラが整っていないだけのような気がするが・・・。
 同様に携帯電話のSIMカードも異常に高い。最近ようやく3Gが使えるようになったが、通信事情は厳しいものがある。そんなこともあって、街角には写真のように固定電話をおいて、お客に利用してもらうサービス、商売がある。聞いてみるとほとんどがミャンマー国内の長距離電話だそうで、当然地域毎に1分あたりの使用料金が違うので、事前に電話をする地域を確認し、通話時間を計って、料金を請求するらしい。

写真下:右のおばさんは3台も置いて大盛況。

このアジアの片隅で…「4」

街角ビジネス その2

 ヤンゴンの街角を歩いていると、いろんな珍しいビジネスに出くわす。一般的な常識では考えられないような商売が成り立つから不思議だ。来た当初は固定電話でビジネスをする人でも珍しかったが、これは先日初めて見かけた風景。
 なんと体重計を前にじっと座っているおじさん。ひょっとしたらその体重計で商売?また、その体重計もデジタルとかではなく、昔ながらのクラシックな古い体重計。ホントにこんなの利用する人がいるのだろうか。と思って少し眺めていたら約3分後、何とお客がその体重計に乗っかっている。体重を気にする男性がここにもいるんだ。一体一回いくらなのか、少し興味があったが、中古の体重計が一台あれば、誰にでも出来るこんな気楽な商売もミャンマーにはある。

このアジアの片隅で…「5」

街灯の話

 以前、「公共水飲み場の話」をしたが、この街灯もそれに近い話。私の住んでいる地域は夜になるとほとんど真っ暗になるが、それでも所々に街灯がある。普通の街灯は、夜になるとセンサーが明るさを感知し、自動的にスイッチは入り、朝明るくなると自動的に消えるようになっているはずだ。しかし、この地域の街灯のオン、オフは、街灯の前の家の人が家の中のスイッチでコントロールするか、もしくはそこを通る人がつけたり、消したりするかのどちらかだ。
 日が沈み暗くなった時、最初にそこを通り、不便を感じた人が電柱についているスイッチを入れ、朝日が昇り始め、街灯の必要性を感じなくなった人がスイッチを切る。すごく原始的だけど、人が通る必要な時だけ点いているわけだから、環境に優しい助け合いの精神が感じられ、初めてこれを見た時には「なるほど!」と感心した。

<< TOP >>